クロノスとカイロス

それを知るだけで世界の見え方が変わるような言葉と、たまに出会います。
「クロノス」と「カイロス」は、先週位に知った言葉ですが、私の世界を変えてくれました。

先週末、日中にたまたま流れていたEテレの番組、
「それでも生きる〜旧約聖書・コヘレトの言葉〜」 に釘付けになりました。
https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/EV861J4GLM/
旧約聖書の一説を対話形式で解説する番組の再放送で、私が見たのはほんの一部分だったけれど。

全ての出来事には「時」があり、その先にはすべての人に等しく訪れる老いや死がある。
その「時」には、「クロノス」と「カイロス」の2種類がある。

「それでも生きる〜旧約聖書・コヘレトの言葉〜」

クロノスは時計で測れる「時間」であり、カイロスは現代の手法では測りえない「刻」。
クロノスは水平に流れるが、カイロスは垂直に流れる。

時間の長短に関わりなく、胸にまっすぐ刻まれるような、神から与えられた「刻」。

「それでも生きる〜旧約聖書・コヘレトの言葉〜」

番組は、 研究者・牧師の小友聡さんと批評家でクリスチャンの若松英輔さんの対話で進行します。
若松さんの、「私は配偶者を亡くしているのですが」、と前置きしてからの言葉。

「一緒に過ごした平凡な日常、クロノスだと思われたあの時は、今思うとカイロスだった」

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いつもの歯医者さんに、今月で会社を退職するから来月から保険証が変わります、と伝えたら
「あら、とらばーゆしたの?」と一言。
内心、と、とらばーゆ・・・!と懐かしいあのフォントが頭から離れなくなりながらも、
涼しい顔で「はい」と答えると、勤務地や条件、仕事内容など、質問攻めに遭いました。笑

「何年働いたの?」という質問に「育休抜いて10年ちょっとです」と答えると、
「あらそう、良いんじゃない?」とK先生。

「私さん。どんなに長い人の人生でも、10年×10セットでおしまいなのよ」

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「どんな仕事が印象に残っている?」と周りから何回も聞かれたけれど、
自分でも呆れ返るほど、本当にろくな答えが思い浮かびませんでした。でもその代わり、

「カタラーナ」って名前のあのデザート美味しかったなとか、
三好苑の焼肉とか、港町のとんかつとか、心の健康診断と称して皆で通ったアゼリアの占いとか。

フェイスブックに載せあった「たらこサワー」とか、スペインバルでのデキャンタワインとか、
鶴屋町のヒラツカのお洒落なビールとか、毎週金曜に駆け込んだジョイナスのライオンとか。
大抵着いて即ラストオーダーで、食べたいものを一息に頼んだりとか。笑

先輩とカタカタカタカタ飽きずに延々やってたチャットとか(当然上司にバレてたりとか)、
上司の1杯目は生で2杯目は絶対にレモンサワーだったりとか、スイーツは撮影するルールとか、

きっとこういうのが、私の「カイロス」だったんだなぁと思います。

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カイロスという言葉を知ってからというもの、特に子供と過ごす日常の中に
「ああ、今こそカイロスだなぁ」と思える瞬間がたびたび生まれました。
年末には退職という節目を迎えて、クロノスの中に潜んでいたカイロスに沢山気づけました。

K先生には、歯の治療はやっぱりしてもらえなかったけれど
はっとするような名言をもらったので、これもまたおそらくカイロスと言ってよいでしょう。笑

毎日毎秒一人の時間が欲しいと思う一方で、
カイロスを実感するのは大体誰かと一緒の時間なのも不思議です。
でもきっと、クロノスが沢山流れている中で、初めて出会える「カイロス」なんだろうな。

2021年も、クロノスの中のカイロスにたくさん気づけますように!